江戸時代初頭の諸産業

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概要
17世紀後半以降の1世紀間、農業・手工業など諸産業で著しい発展が見られました。この発展を理解するために、16~17世紀半ばにかけての諸産業を概観しておく必要があります。この時期で特筆すべきは、農業が社会基盤として重視されたことで、新田開発が進み、全国的な耕地と村の増加が起きたことです。

農林水産業

農業

近世の農業の特徴|16~19世紀)

近世の農業は次の特徴をもち、社会を支える基盤と考えられました。
  • 低い労働生産性
    狭い土地に対して、集中的な労働力
  • 高い土地生産性
    狭い土地に対して、多い収穫量

農業の推進と年貢米の増収

17世紀初頭以降、幕府・大名は次の施策で農業の推進を図りました。
  • 灌漑用水の整備
    箱根はこね用水(水源:あしノ湖)・見沼代みぬまだい用水(分水:利根とね川)
  • 新田開発
    有明ありあけ海(干潟ひがた干拓)・下総しもうさ椿つばきのうみ(湖沼干拓)
全国の耕地が増加し、併せて村も形成されて年貢米の増収をもたらしました。
新田開発
17世紀末から、有力商人が開発に出資する町人請負新田が増加
江戸時代の椿海

農具

すきくわ・鎌に加え、牛馬などの畜力ちくりょくを利用するすきなども普及しました。
農具は鉄製で、城下町の職人が村を回って生産・修理しました。

肥料と生産物

肥料として、刈敷かりしき・草木灰・下肥しもごえが基本的に使用されました
米以外に、自給自足用の雑穀と、換金用の商品作物が生産されました。
商品作物の生産は、1643年の田畑勝手作りの禁で抑制されましたが、四木しぼく三草と総称する「茶・桑・こうぞ・漆」「麻・あい・紅花」は奨励されました。
四木「茶・桑・楮・漆」
三草「麻・藍・紅花」

林業

山地は幕府や藩に直轄支配とされ、材木がり出されて商品化されました。
木曽檜の伐採作業
村は、領主に小物成を納めることで山地の利用を許され、その一部は入会地として村に共同利用されました。
小物成
山野河海さんやかかいはあくまでも領主の直轄地のため

漁業

漁業は、食料供給と魚肥ぎょひ(魚類を原料とする肥料)利用を目的に多様に発達しました。
漁法は網漁を中心とし、技術は上方かみがたの漁民によって全国に広まりました。

その他の産業

手工業

職人は町や村に住み、幕府や大名に国役として無償で技術労働を奉仕しました。
職人は、百姓の負担や町人の負担(町人足役)を免除されました。
17世紀半ばの手工業の発達に併せ、職人は仲間(組合)をつくりました。
都市部の職人の人口が増加し、ほとんどが借家として定着しました。
村では、零細な家内手工業が、製紙・織物・紙漉かみすき・酒造などの分野で、早期から見られました。
紙漉による和紙の生産は、流漉ながしすきという技術とともに全国に拡大
流漉

鉱山業

戦国時代に鉱山開発が進み、鉱山町が形成されました。
鉱山には、佐渡金山・石見大森銀山・住友家が経営する別子銅山などがありました。
鉱物の中で、は世界でも有数の生産量を誇り、主要な輸出品でした。
17世紀後半に金銀の産出量は減り、かわってが最大の輸出品となりました。
灰吹法はいふきほうと呼ばれる製錬技術で生産
足踏みふいごで空気を送るたたら精錬が、中国地方を中心に展開
たたら精錬

商業

江戸時代初頭、権力者と結んだ特権的商人豪商が活躍しました。
次のような豪商が代表的で、朱印船貿易などで巨万の富を得ました。
  • 長崎
    末次平蔵すえつぐへいぞう
  • 摂津
    末吉孫左衛門すえよしまござえもん
  • 京都
    角倉了以すみのくらりょうい茶屋四郎次郎
豪商は、鎖国や陸上・水上交通で一般商人の参入が増加すると衰退しました。
角倉了以
賀茂川・富士川・高瀬川などの水路開発に従事
角倉了以の朱印船
17世紀後半になると、次の三者による商品流通の機構が整備されました。
  • 問屋
    生産者あるいは仲立業者から商品を買い入れ、直接消費者に売る者あるいは別の仲立業者に売り渡す業者
  • 仲買なかがい
    生産者と問屋、問屋と直接消費者に売る者の仲立業者
  • 小売商人
    問屋・仲買から商品を買い入れ、消費者に売る者
商品流通
*矢印方向に販売

問屋・仲買

都市や生産地で業種ごとの仲間(組合)をつくり、また独自の法である仲間掟を定めて営業権を独占しようとしました。

小売商人

小売商人の販売形態は、もち歩いて販売する振売や、常設・路上店舗での販売など多様でした。
振売