元禄文化-文学と学問

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概要
元禄文化というと、西鶴の浮世草子、芭蕉の俳諧、近松の浄瑠璃、光琳の工芸品、友禅染などがその代表として挙げられます。これまでの文化に比べ、色々な分野に多彩な様式をもって展開しました。元禄文化の成立の背景には、ある程度安定した生活の享受がありました。さらに、17世紀前半からの各種技術技法の進歩も見逃せません。

元禄文化

元禄文化とは

元禄げんろく期(5代将軍徳川綱吉の治世)、幕政が安定しました。
生活に余裕ができ、色々な分野に多彩な様式をもつ文化が展開しました。
この時期の文化を元禄文化と呼び、次の①~②の特色をもちます。
  • 現世を「浮き世(辛いことの多い世)」と捉えて表現
  • 儒学以外の実証的・実用的な学問も発達
江戸時代の文化

文芸と学問

文学と芸能

上方かみがた(京都・大坂)の豪商・町人が文芸の主な担い手でした。

元禄の三大作家

井原西鶴いはらさいかく
大坂町人の出身で、談林だんりん俳諧の開祖西山宗因そういんに学んだのち、浮世草子と呼ばれる小説を執筆“好色物”の『好色一代男』、“武家物”の『武道伝来記』、“町人物”の『日本永代蔵』『世間せけん胸算用むねさんよう』が代表作
井原西鶴
松尾芭蕉
伊賀の出身で、奇抜な趣向をねらう談林俳諧に対して、自然と人間を鋭くみつめる蕉風(正風)俳諧を確立『奥の細道』『おい小文こぶみ』、句集『猿蓑さるみの』が代表作
松尾芭蕉
近松門左衛門
武士の出身で、現実社会・歴史に題材を求め、義理と人情の葛藤かっとうを人形浄瑠璃じょうるり歌舞伎かぶきの脚本で描写世相に題材をとる“世話物”の『曽根崎心中』、史実に題材をとる“時代物”の『国性爺合戦こくせんやかっせん』が代表作
近松門左衛門

近松作品に関わった人物

辰松八郎兵衛たつまつはちろうべえ
女方おやま人形遣いの名手で、近松作品を演じて活躍
竹本義太夫
浄瑠璃の語り手で、近松作品を語って活躍独自の語り義太夫節は浄瑠璃の流派に成長

歌舞伎

江戸時代初期、女歌舞伎が禁止され、続いて若衆わかしゅ歌舞伎も禁止され、野郎やろう歌舞伎のみが存続し、民衆の演劇として発達しました。
江戸
市川団十郎が、勇壮な演技荒事で好評を獲得
上方
坂田藤十郎が、恋愛劇和事で好評を獲得
芳沢あやめ
女らしさを表現する女形おやまを大成した歌舞伎役者
市川団十郎
坂田藤十郎

儒学とその一派

儒学は、身分ごとの職分・上下の秩序・「忠孝・礼儀」を重んじます。
特に儒学の一派朱子学は、大義名分論を基礎にします。
幕府は儒学・朱子学が幕藩体制の維持に役立つと考え、これらを道徳的な教えを説く学問「教学」と位置づけて重視しました。
儒学の一派の対立
明の王陽明おうようめいが創始した儒学の一派陽明学は、知行合一ちこうごういつを基礎にします。
陽明学者は知行合一の立場で現実や朱子学を批判したため、幕府に警戒されました。
知行合一
知識は人間の経験・実践を通してこそ「本当の知」になるという思想
王陽明

海南かいなん学派(南なん学)―朱子学の一派

野中兼山
谷時中たにじちゅうに学び、土佐藩の藩政改革を推進
山崎闇斎あんさい
谷時中に学び、神道を儒教流に解釈する垂加すいか神道を創始
山崎闇斎を祖とする崎門きもん学や垂加神道は、幕末の尊王そんのう論に影響
系統図

古学派―孔子・朱熹しゅきの原典研究

山鹿素行
武士道徳を儒学の立場から説き、武士道を大成『聖教要録』は朱子学を非実用と批判したため、赤穂あこうに流刑
伊藤仁斎・東涯とうがい
古義学派を形成し、京都堀川に私塾古義堂を開塾
荻生徂徠おぎゅうそらい
古学派を継承し、統治の具体策である経世論を提唱江戸茅場かやばに私塾蘐園けんえん塾を開塾8代将軍徳川吉宗よしむねに重用され、吉宗の諮問に『政談』で回答
太宰春台
徂徠そらいに学び、『経済録』で藩による商業活動の重要性を主張
系統図
荻生徂徠

陽明学派―実践重視の儒学の一派

中江藤樹
日本陽明学の祖
熊沢蕃山ばんざん
藤樹とうじゅに学び、『大学或問わくもん』での幕政批判を理由に幽閉
系統図

実証的な諸学問

本草学(博物学)・農学

貝原益軒
本草学の『大和本草やまとほんぞう
宮崎安貞
農書『農業全書

数学

吉田光由みつよし
和算書『塵劫記じんこうき』を著し、日本の独自の数学和算わさんの普及に貢献
関孝和せきたかかず
筆算代数式・円周率計算を研究して和算を大成し、『発微はつび算法』を著述
和算
関孝和

天文・暦学

渋川春海(安井算哲)
1684年、中国の暦を修正した貞享暦じょうきょうれきを作成遍暦を司る新たな役職天文方てんもんかたに就任

古典研究(国学のさきがけ)

契沖
『万葉集』を伝統にとらわれずに研究し、『万葉代匠記だいしょうき』を著述
北村季吟
『源氏物語』を研究し、『源氏物語湖月抄こげつしょう』を著述